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快楽の嵐が来る。
おれはその時もロイドの手を握り続けた。
『こんな体、やだ』
とロイドが言ったのはつい先日のこと。
あの変な医者からもらった薬で乱れよがったことが相当にショックだったようだ。
俺としては願ったり叶ったりな体質だと思っているのだが、本人はそうでもないらしい。
確かにロイドは感じ易すぎる。
まるで抱かれるためのような体だとも思う。
先日抜いてやった時に目を見開いて泣いていたことを思い出す。
調子に乗りすぎたかもしれない。
しばらくしない、と言われたので俺から手を出すつもりは無いが、それであいつは大丈夫だろうか。
3日、間を空けるだけでロイドは意識が吹っ飛ぶほどだ。
すすり泣いてよがりながらシーツを滅茶苦茶に握り締め、焦点の合わない瞳でイく。
そうして終わって意識が戻ってから自室に戻っていく。
隣の部屋からすん、すんと小さな泣き声が聞こえてくるのを知らないわけじゃない。
あいつは自分の体質に自己嫌悪している。
件の日も隣の部屋から泣き声が聞こえた。
俺は、出来るならそれを取り除いてやりたかった。
消灯が済んで、廊下の非常灯だけが足元を照らす。
俺はロイドの部屋をノックしようか迷う。
軽く握ったこぶしを扉の前まで持ってきて、手を下げた。
中からすすり泣く声が聞こえてきた。
今、入るべきだろうか。
再びすん、と鼻をすすり上げる音が聞こえる。
俺の手は勝手に部屋の戸をノックしていた。
「誰?」
涙をこらえた声。
「俺」
短く答える。
沈黙があった。
「入ってこないでくれ」
俺はそれを無視した。
部屋の戸を開けると、ロイドは枕に突っ伏して泣いているようだった。
滅茶苦茶ブルーになってるじゃねえか。
どうしよう。
嘆息する。
「目にごみでも入ったのか」
「・・・うん。すごく大きいのが入った」
ずっ、ずっと鼻をすすり上げながら、ロイドは顔を上げた。
目は真っ赤。瞼も腫れぼったくなっている。
ロイドはベッドに腰掛け、小さくうなだれた。
「おれ、入ってくるなって言ったのに」
まだ溢れてくる涙をぬぐって、ロイドは言う。
恋人が泣いてるのに放っておけって言うのかと言うと、ロイドは沈黙した。
俺はぼりぼり頭を掻いて、ロイドの横に座る。
「そのごみは、どんなごみだったんだ?」
「・・・自分が嫌になるごみ」
「どうしてそんなものが入った?」
「分かんない・・・」
ロイドはぎゅっとこぶしを握る。
俺はその上に手を重ねて、握りしめたこぶしを解かせた。
「俺のせいにしちまえば良いじゃねえか・・・」
「そういうのと、違うんだ・・・」
「何が?」
ロイドはまた沈黙して、口を開く。
少し唇が震えていた。
「体が昂ぶってくると、ランディのことが見えなくなるんだ。それがまるで・・・」
相手が誰だって良いみたいで、嫌なんだ。
ロイドは最後の方、半ば独り言のように呟いた。
俺はロイドを抱きすくめる。
ロイドの顔を胸に押し付けた。ロイドは自然、俺の胸にすがりついてくる。
こいつは優しい。
俺にはもったいないほど。
髪を梳きながら、背中をぽんぽんとあやすように叩いてやる。
ロイドはまた泣き出しているようだ。
「ランディ・・・、おれ、どうしたら良いのかな・・・」
「お前はお前のままで良いんだよ」
のどを引きつらせて言葉を発するロイドに、おれも振り絞るような声で言う。
何か変える必要も無い。それだと言うのに。
でもお前がそれで苦しむなら、俺は証明してやる。
「シュミレーションしてやろうか」
ロイドは疑問を顔に浮かべて、こっちを見た。
泣き尽くしたのか、少し落ち着いたのか、こぼれてくる涙は収まっていた。
「ようやく顔を見たな」
「あ・・・、ごめん」
「泣き虫が付いてる」
ちょいと涙の跡が残る頬をつつくと思いのほか弾力のある肌に弾かれる。
「えと、シュミレーションって?」
ロイドは精一杯の笑顔を浮かべる。
さっきまで泣いてたのに、こういうところは適わないと思う。
「抱かれてる時、俺を見失わないように」
そう言って頬を撫で、軽くキスする。
「・・・今、そういう事、するの?」
ロイドは明らかに拒絶を示した。
「まさか」
俺は苦笑する。確かに朝な夕な求めすぎてはいたけれど、こんな時まで盛っているつもりはない。
俺はロイドのベッドに寝転がって手招きする。
ロイドは四つんばいでおずおず近づいてきて俺を見下ろす。どうすれば良いのか分からないとでも言うような困った顔をした。
ロイドの手を引いて、腹の上に乗るように言う。
ロイドは素直にそれに従った。軽い体だ。
「俺の手を握ってみろよ」
「う、うん」
「それからキスして」
「・・・うん」
俺の指に指を絡めて、赤い顔をしたロイドが近づいてくる。
ああ、結構クるなあ。
我慢したいが、勃つものは仕方ない。
まあ腹の上に乗ってるから分からないか。
軽く触れるだけのキスをしてロイドは顔を上げた。
その顔は困惑している。
この先何を指示されるのか、と思っているのだろう。
俺は良く出来ました、と言って頭を撫でた。
「これだけだ」
「これだけ?」
正直拍子抜けした、とでも言うようにロイドは俺の肩をつかむ。
「イくとき、俺にこうしてみろ。俺だけ、見てろ」
ロイドはこくんと頷く。
その表情には信じられないと書いてある。
俺は上に乗っている体の肩から腕をそっと撫でた。
ロイドはびくっと身を震わせる。
感じすぎて何も見えなくなることへの怯えと、抱かれる期待がない交ぜになっている。
「実践、してみる?」
俺がそう言うとロイドはぎゅっと目をつぶった。
そして良いとでも言うようにキスされた。
「一人でいいことしてたろ」
吐精を口で受け止めて、先日からしてないにしては薄いと思った。
「あっ・・・だって」
ローションを塗りたくった尻たぶを押し開いて指を一本。
「だって?」
「んんっ・・・ランディ、あっ、結局、あの日、挿れてくれなかったから・・・」
一人でしたんだ、と言う。
ロイドは総身をびくびく震わせて昂ぶった小声を漏らす。
肉壁の一点をくっと押すとさらにその身は震える。
快楽に弱い、可哀想な体。
「で、一人で、どうしたんだ?」
挿れてくれなくて切なくなったのなら、恐らく。
「前いじって、はぁっ・・・あぅっ」
「嘘つくなよ」
「う、うそじゃな・・・・やぁ、ん」
嘘をつく子にはお仕置きだ。
「ひゃっ、んんんっ」
指を二本に増やして、ぐりっとツボを押す。
ロイドは顔を真っ赤にして俺を弱弱しく突っぱねる。
「俺は嘘は言わねえ。夢の中にお前が出てきた。思う存分犯したぜ」
その言葉に反応するように前の熱から蜜がとろっと溢れてきたので、それを舐めとる。
「どうなんだ?」
内壁を一層強く押してやる。
「あ、だめ、だめっ、おかしくなるっ。ひ、く、言う、から」
それに満足して、ぢゅぽ、と指を引き抜いて先を促した。
快楽で真っ赤に染まった顔が羞恥心でさらに赤くなる。
「自分の、指、入れて・・・した」
「イけたのか?」
ロイドは首を横に振る。だろうな。
一人ではイけない。それが分かっているだけでも、誰でも何でも良いってわけじゃないって気づかないのか。
俺はまた指を押し込んだ。ロイドはのどを震わせて引きつった声を上げた。
「それって、お前の体がちゃんと俺相手じゃないとイけないってことだろ」
「ひ、ぃ・・・そ、かな」
「あとは、イくとき、俺のことだけ見てろ」
俺は、ほぐして柔らかくなった蕾に熱を押し当てる。
ロイドはおれの首に腕を回して、しがみついてくる。
「あ、あっ・・・」
徐々に埋まっていくモノにロイドは感じ入りながら目をつぶる。
「目、開けろ」
「ん、ふ、・・・うん」
視線を絡ませ、口付ける。口の端から、はぁはぁという息切れの音と飲み込みきれない唾液がこぼれていく。
全てロイドの中に埋め込んで、はぁっと一息ついた。
ロイドの指の間に指を滑り込ませて、ぎゅっと握る。
俺はここにいる、と主張する。
するとロイドも握り返してきた。
そう、それで良い。
「動くぞ」
「う、うん」
一瞬怯えたような顔をして、頷く。
「大丈夫だ」
瞼にキスをして、俺はゆっくり腰を使う。
ずる、と抜ける瞬間、泣くような悦の声を発して腰を押し付けてくる。
「くぅ、ん・・・ふ、ああ・・・あっ」
「まだがっつくとこじゃねえだろ。あと目ぇ開けろ」
腰をぱちんと軽く叩く。
ロイドは必死な様子で目を開き、一生懸命な視線を俺に送ってくる。
「そう、良い子だ」
腰の動きを再開する。
ぢゅぶぢゅぶとローションが泡だって、ぬめりを増す。
中の収縮と入り口の締め付けで快楽が背筋を駆け抜けた。
その間もロイドはひっきりなしのよがり声を上げて、涙を流した。
握られている手に爪が食い込む。
痛みに顔をしかめながら、腰を揺すぶる。
「っあ!あっ、ひうっ、い、あ、きもちい・・・」
またロイドが目をつぶった。
俺を見ろ。
「ロイド!」
「あ、ランディ・・・ランディッ」
ロイドは慌てて俺を見る。
名前を呼ばれて、まだ、大丈夫そうだ、と思う。
さらに腰の動きを早めると、肉と肉が当たってばちぱちと音がする。
「はぁっ、ロイド、どう、だ?」
「イきそ・・・、あ、は・・・ランディ、おれ、だいじょ、ぶかな・・・」
「大丈夫だ。目、つぶるなよ」
「うん・・・あっ、そこ、やっ、あっん」
体中の皮膚感覚がどこまでも研ぎ澄まされていく。
もうこいつの中にいる感覚しかなくなってくる。
それはロイドも同じようで、狂い泣くような甲高い悲鳴を上げて、切なげに眉を寄せた。
「っああ、ひあっぁぁ!イく、イッちゃ・・う・・・!」
ロイドの手は緩んでいる。
それをぎゅうっと握った。
「俺が見えてるか、ロイドっ」
「見て、る・・・あ、はっ、ああ、ううんっ」
弱弱しく手が握り返され、ロイドは俺に口付けてきた。
「んんっ、ふ、はっ、ん」
間近で互いの視線をねっとりと絡ませながら、俺達は稲妻のような速さで頂上に駆け上る。
腰を思い切り突き上げると、ロイドの総身が跳ねた。
「イくっ、ラン、ディ、おれ・・・あっ、あーー!」
遠慮のない声を思うさま上げて、ロイドの目からぼろぼろと涙が零れ落ちる。
ロイドは俺の腹に吐精すると一瞬うっすら笑んで、そのままガクンと力を失った。
俺自身もはぁはぁ息を切らしながら、ロイドの肩を揺さぶった。
まさかまた意識を飛ばしてしまったんだろうか。
「ロイド?ロイド!おい」
すると、ふふ、とかすかに笑いながらロイドが少し目を開けた。
「だい、じょうぶ・・・」
ああ、良かった。
俺は心底ホッとする。
シュミレーションしようとか言ったが、正直自信があったわけじゃない。
ロイドはちゃんと最後まで俺を見ながらイった。
俺を見ている意識は残っていたらしい。
良かった、本当に。
俺はロイドの頭を抱える。
「大丈夫だったな」
「うん・・・」
ロイドは俺の背中に腕を回す。腕ががくがくと、震えている。
「ランディ・・・おれ、恐くなかった。いつもイく前の、意識がある時に恐くなるんだけど・・・今日は、恐くなかった」
「良かった」
「それに、今自分の体も悪くないかなって、思う」
「ああ、悪くなんかない。お前はお前のままで良い」
「それに・・・」
ランディってイく時あんな気持ち良さそうな顔するんだって思って。
可愛かった。
なんて言う。
自分のイくときの顔なんて見たくはないが、それを言うなら俺だってロイドのイく顔をまじまじと見た。
切なげに眉を寄せていて、口からはひっきりなしのよがり声。
可愛いのはお前だろうと思う。
だが何にせよ、証明できて、良かった。
こいつが自身の体を嫌悪しなくて済むようになって良かった。
「あとね」
「ん?」
「いつもは花火が散るみたいな感じなんだけど、今日はそれが連発してたって言うか・・・はは、何言ってんだろうな」
ロイドは慌てて、照れたように顔をそらした。
「ククッ、そりゃ何より。男冥利に尽きるね」
照れてそっぽを向いた顔をこちらに向かせて口付ける。
握り締めた手は堅く繋がって少ししびれていた。
俺は手を離そうとしたがロイドがそれを制する。
「しばらくこのままでいてくれないか?」
俺はそれに頷いて、ロイドの肩口に顔を埋めた。
そして祈る。
この日ばかりは、普段祈らない女神にありったけの祈りをささげた。
どうかこの恋人が自分を愛せますようにと。
俺が愛するのと同じくらいに。
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