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抱くのは夢の中でだけで十分だったのに。



お前は、どうして俺を困らせるんだ?



























「やめろって!」

「意外だなー」

「本当に駄目なんだって」

「ほれほれ」



ウルスラ間道の端でアマガエルの小さいやつを見つけた。

俺はこういうたぐいが好きなのでちょっと手に乗せて、ついでだからロイドに見せてやったのだが。

まあ、上のとおりの有様だ。

今も顔の先に近づけて様子を見ているのだが、相変わらずロイドは目をつぶったまま。息も殺しているように見える。



「お前、釣りとかするのに、カエルは駄目なの?」

「なんっか駄目なんだよ、と、とにかくそいつは放してやってくれよ、可哀想だろ」

「ぬめっとしてるところなんか魚と同じじゃねえ?」

「それとこれとは違うんだ!」



ロイドの叫び声か、手の平の居心地が気に入らなかったのか、カエルはぴょいと跳ね上がった。

そしてあろうことか、ロイドの服の中に入り込んだ。



「あ、」

「え?」



目をつぶっていたから彼は一瞬何が起こったのか分からなかったらしい。

だが次の瞬間、背筋をびくびくっと震わせて声にならない悲鳴を上げた。

そしておもむろに俺にしがみつく。

たぶん、何を起こしているのかは自分では分かっていないだろう。

カエルはどうやら服の中でぴょこぴょこ跳ねているみたいだった。



「あ、あああ、っ」



必死の形相で、何もいえなくなっているロイドを見ながら、抱きつかれて内心ラッキーと思っているのは内緒だ。

ロイドは何か伝えようとしているらしい。

何かは明白だが、そのまま気づかぬ振りをしようと思った。



「お?おお?」

「あっ、あ、」

「あ、しか言えてねえぞ」

「と、とって!早く!お願い!」

「じゃあ脱げよ」

「て、手がふるえて・・・」

「あ、ホントだ」

「お願い、早く・・・!・・・ひっ」



そんなに急かされて、そんな声を出されて、まるで別のことをねだられてるみたいだなあ、なんて思いながら、少しいやらしい手つきで彼の上着のジッパーに手をかけた。

するすると下におろすと、その裾からぴょいとカエルが飛び出てきて、草むらの中に逃げていった。



「達者でやれよー」



カエルに一言告げて、目の前にいるロイドを見ると、なかなかどうして良い眺めだった。

必死になったせいか、真っ赤になった頬。

ほっとしたのか少しとろんとした目つき。

そして俺にすがる手。



(おお、すげえクルな・・・)



しかもこの至近距離。

ばっくんばっくん言っている心臓の音まで手に響いてくる。

俺はロイドの背中に腕を回した。彼が何も出来ないのをいいことに。



「悪かった」



そう言いながら片手は頭の方へ。猫っ毛なのか、やわらかい。

くしゃくしゃと撫でてやると、心底落ち着いたように、ロイドは息を吐いた。



「ランディ、」

「ん?」



てっきり、張り手でも飛んでくるかと思ったのだが。



「こうしてると落ち着く」



彼はますます近づいて胸に擦り寄ってきた。



「そうか?」



なるべく平静を装おうと猫っ毛をまたくしゃくしゃとかき混ぜる。

そんなことを言われると、こちらの方が恥ずかしい。

と言うか、俺の体温も上昇してきている。

なんでこいつは簡単に人を惑わすのだろうか。



(なんか妙な気分になってきた・・・)



これ以上密着しているとまずい気がする。

ナニをしようと言うわけでもないが、下半身に融通という言葉はない。



(やべ・・・)



「あー、あのさ、そろそろお嬢達と合流しねえか?もう、震えてないだろ?」

「あ・・・、そうだな。ごめん」



あっさり離れてくれたのは良いが、最後の名残惜しそうな顔は反則だと思う。



(やっぱこいつSだよ。無自覚でどSだよ。何の試練だったんだよ今の)



はーとため息をついて、許されるならその場にへたりこみたかった。



「どうしたんだ?」

「いんや、なんでもねえよ」

「そうだ、さっきのは何かおごって返してもらうからな」

「うげ、なんだよ。根に持ってたのかよ」

「ランディが悪いんだろ」

「あーはいはい、そうですね」



さっきまであんなにしおらしかったのに、何だろう、この変貌振りは。

くるくると表情を変えて、まるで猫みたいなやつだ。



「それにしてもさ」

「ん?」

「ランディって、きれいな顔してるな」

「は?」

「一見ガタイが良くてそっちに目が行っちゃうけど、さっき間近で見てすごくきれいだなって思った」



きれい?俺が?



「そんな事、野郎に言われても嬉しくねえよ」

「はは、そうだな」



俺はまたロイドの髪をくしゃくしゃにした。



お嬢たちと合流してから、俺はロイドの腰のラインを舐めるように見た。

頭の中でぼんやりと、そして段々とくっきり浮かび上がる情景は、自分に反吐が出そうだった。

俺はきれいだなんて言われるような人間じゃない。

もう、こいつに近づくのはよそう、そんな風に思う。



きれいってのは、見たやつの心の持ちようだ。

俺を見てきれいと言う、こんなきれいなやつを俺は汚したくない。







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