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貴方を想う時零れ落ちていく気持ち。



手を伸ばせない、この躊躇い。



待っていてくれると言った。



だからなるたけ早く、走った。



走って、走り抜けて



気づくと貴方は遠くで微笑んでいた。









「弁慶」

「・・・、」



血濡れの手をどうしようかと、可笑しいくらいに戸惑う。



「ヒノエ、・・・」



温もりを、もう一度、感じたいのに

どうして滑り落ちていく。

目を開くのも、口を開くのもやっとの人は

少しだけ笑った。



笑って言った。



「神は、見ている、ものですね・・・、」



最期に見れたものが、望んだ姿だった。



「僕の、大切な子・・・」



涙など流せるものか。

流してしまえば、認めることになる。

この、殺しても死なないような男が、失せていく。





しばし呆然と、その場で佇み

ふと昔を思い出す。











「いくなよ」



外套を引く手が苦笑を誘い

弁慶は僅かに身をかがめた。



「ヒノエ・・・」



手をそっと握ると、確かに小さな手が握り返す。



「どのくらいで、もどってくるんだ」

「・・・どのくらいで戻ってくるか、賭けませんか」

「うそばっかつくくせに!」

「じゃあ、お互いに言わないでおきませんか」

「なんだよ、それ」

「当たったら、面白いでしょう」



なお駄々をこねようとしたが、弁慶は構わずに続けた。

約束の時間は互いに言わないで、こうしようと。



「ヒノエが勝ったら、二度とここからあちらへ行きません」

「ほんとうか」

「ええ、」











交わした小指の温もりは未だにここにあって。

ふと小指をだらりと下げられた指に絡める。



「・・・、嘘、じゃないか、今度は・・・」



賭けの年月は自分の勝ち。

弁慶も嘘はつかなかった。



二度と離れない。



そして、会えない。



「こんなんなら・・・嘘で良かった、・・・」





握り締めた手の冷たさが、零すまいとしていた涙を誘った。


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