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「指を当てて御覧なさい」



差し出された鏡に言われたとおり指を乗せる。



「動かして、」



ゆっくり動かす。

同じ動きを鏡は繰り返す。



「人と人も、そうなんですよ」



顔を上げると弁慶は笑った。



「君が悲しいと僕も悲しい」



胸に、手を当てる。

その仕草の穏やかさが、流れていく水のように心地良い。





誰かのために笑わなくて良い。

自分のために笑えば良い。



「そうすると、自然に、楽しくなれるんですよ」





彼は綺麗に笑って、指を掴み取る。



「鏡になったつもりで、僕の真似をして下さい」



指を沿わせて、目を合わせていると

微笑んだ弁慶につられて、少しずつ表情が緩む。



そんな滑稽なことをしているのが可笑しくなって

段々と、腹の辺りに震えが溜まって来た。



「こら、笑い過ぎですよ」



終いには大口を開けて笑い、床にひっくり返る。

繋がった指先から、まるで鏡のように

同じ感情が伝わりあう。





楽しくて、仕様が無くなった。



こんな、滑稽な事で。
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