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知識欲、と言うものは旺盛に越したことはない。

何でも興味を示し、吸収しようとする力は、自分の引き出しを増やす。

なまじ師などいれば逆に惑う。

己から食い付いていかなければ実にはならない。



『もっともです。ただ、師匠は必要ですね』



弁慶はそうのたまった。

幼い時分に言われても、いまいちピンとこないものだが

それを知ってか知らずか、彼は一つ笑っただけだった。









「師匠、ねぇ」



ぞんざいにあぐらなどかいて、手にしていた書物を投げ出す。

パサ、と軽い音がしてそれは畳のほこりを立てた。





『こうありたいと言う理想が必要なんですよ。ただ知識を持っているだけでは、役に立たないんです』



持つことで満足するのか、使うことで己を研くのか。



『どうしても勘違いすることがあります。得た事によって終着だと』



けれど、本来そうではない。

知識とは道具、使い慣れなければ、おのずと忘れてしまう。



『使い方の上手い師を見つけることですよ』





理解できなかった。

どういう事なのかと。

彼はそれを言葉少なに、書物の中、庭の片隅、身近な何かにある事をさし示す。







「おれにとっちゃ、あんたが・・・」



幼い記憶に縁取られて、あまたの師匠の姿が浮かぶが、その一番頂きには、いつも彼の姿がある。



「悔しいけど、なー、」



投げ出した兵法書を手にとる。

半年前の彼の置き土産は、すでにこれで最後。

もうすぐ戻ってくるのを心待ちにする。

一体、どんなこざかしい質問をしようかと、ゆっくり瞼を閉じた。


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