>>[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
強請るように背筋が張り詰める。
昼間負った傷を弁慶の舌が舐めたからだ。
手当てと称して部屋に引っ張り込まれたが、そういう事かと少し鼻白む。
あまり事を致す気になれないので制止の声を上げてやった。
「おい、」
振り返ると間抜けな犬みたいに少し舌を出した彼が上目遣いにこちらを見遣った。
表情を正していつもの顔で少し笑うと、指先で傷をなぞる。
「これ以上傷が残っては困るでしょう」
わき腹の辺りに指を滑らすと引きつれた傷跡に辿りつく。
それは初陣の時に付いたものだったと弁慶は言う。言って、あちこちに残る引きつれた傷跡を一つ一つ同じように辿りながら、新しく付いた背中の傷を何度も何度も舐めて吸った。
「っぁ・・・、弁慶・・・ッ」
背中に息が触れる度に卑猥な感覚に襲われる。
その気が無いのに無理やり熱を持たされるのは好きではない。
止めさせようと手を伸ばしても簡単に床に押さえられて、指先が床をこつりと叩く。
その間も愛撫のような、よく分からない事をする彼は、傷跡を辿り続ける。
「これは、春先にこしらえたものでしたか、」
いちいちどれがどの傷なんて自分でさえ覚えていないのに、彼は何故覚えているのだろうか。
吐息を濃くしながらそんな事を思い、残っている片方の手を後ろの人間に伸ばす。
ぎゅっと髪を引いてやると、ようやく彼は顔を離したがそのままうなじに口を寄せてくる。
湿った感触に体を震わせ歯を食いしばった。
「君の傷跡は、君の踏み越えてきた屍の数なんですよ」
そう言って弁慶は髪を梳く。
ああ、と合点がいった。この行為が弁慶の気まぐれな感傷と、腹の立つお節介に過ぎないと。
「お笑い種だね。あんたがそれを言うんだ。非情な・・・軍師様が」
「・・・違いますよ。・・・、」
「何が違う?傷を増やすなって言ったな。要は屍を増やすなって事だろう?」
「いえ、」
顎を取られて上向かせられる。
瞼や頬を舌が這った。
「己に傷を付けない方法を覚えなさい、と言っているんです」
弁慶の目は、冷たいような、しかしやはり感傷の入り混じった目をしていた。
彼は矛盾ばかりだ、と思う。
人にそう進言しておきながら、自身は傷だらけで敵を討つと言うのに。
抱いた抱かれたの時に体の傷を目にしているのは、何も弁慶だけではない。
自分だって見ている。自分以上に傷を負った彼の体を。
「あんたは、自分がそう出来ないから苛立つんだな」
弁慶の見開かれた目の端を指で撫でた。
傷を負い、傷を負わせ、本当ならば一方的な攻撃をしかける事も出来るはずなのに、そこで邪魔をするのは己の良心だ。割り切れない感情を抱きながら人を殺している。
それは、多かれ少なかれ在る感情で、無くてはならないもの。
彼はそれを捨てろと言いたかったのだろうかと思う。
「自分が出来ない事を人にやれって言える?」
「・・・、心配しているんです。」
「素直に最初からそう言えば良いじゃん」
弁慶は顔を離すと一つ溜め息を零した。
上手く言えなかったのか、上手く丸め込めなかったとでも言うようだ。
体を向き直ってその頬に触れる。
そうして、彼がしたように着物の合わせ目をずらして中に手を差し込んだ。
胸板に指を滑らすとすぐにでも分かる同じような傷跡に触れた。
-------------------------------------------------------------------------------------------
中途半端なのでこねたで。
薬師ならみんなの傷の手当てとかするんだろうなーなんて。
個人的に傷跡に舌を這わせるのって大好きです。フェティッシュエロチシズム。