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ぐだぐだとしたリビングの空気。
温んで全身に纏わり付くその滞留に、一つ溜め息を零しながら、弁慶の手が新聞を捲った。
溜め息の理由といえば、腰に手をまわしてうざったい猫のように寝ている少年だろうか。
ちらりと視線を落とすと暢気に口を半開きにして寝ている。
男の膝枕なんぞされても嬉しくないと彼は以前言っていた様な気がするのだが、無防備に太ももの上で寝ているのを見ると苦笑ばかりが浮かぶ。

甘えたようなこういう行動はこちらが意図していない時に起こる。
彼は傍にいたいと言い、傍に来るなと言い、その気まぐれな発言の一つ一つにしばしばああだこうだと考える事もあるが、最終的に考える事が面倒くさくなって放り投げてしまった頃、彼はふと思いついたように寄ってきて甘えてくる。

まるで、猫のようだ。

ん、と鼻にかかった声が零れる。
顔を枕に擦り付けるような仕草で腹に顔を寄せる。腰に回った腕に一瞬力が入った。

「ヒノエ、」
「んー・・・、」
「二階へ行ったらどうです」
「ん・・・」

返事をしたのかしないのか、彼はむくっと起き上がった。
ぶるぶると顔を左右に振って、顔に手を当てる。起きようと試みているのかと様子を伺っていると、彼の手がひょいと首に絡んだ。
そのまま体ごともぞもぞ上に乗ってきて、首に頭を預け、また寝息を立てようとしている。

「・・・だっこ、」

呆れて口が塞がらない、と言うのでもない。こういう事をするのかと呆気に取られた。
わざわざ引き剥がすのも可哀相かと、軽い体を抱えなおしてリビングを出る。少し高い体温や洗剤の柔らかい香りに、安堵する。まるで赤子でも抱えているような気分だ。
ふと玄関の扉が開く。先ほどまで買出しに行っていた連中が帰ってきたらしい。
真っ先に入ってきた黄緑色の髪と鉢合わせた。

「あれ、弁慶さん?」

抱えられた格好のヒノエに驚いたようで、少し眼鏡を掛け直しながら凝視していた。
当然だが言葉に困っているらしい譲に僅かな優越感を感じて、いつものように笑う。

「眠いらしいですよ。大きい子供で困ります」
「はぁ・・・」

望美には内緒にしてくれと可愛い甥の為に一言告げると、二階にさっさと向かう。
階段を一つ上ると揺さぶられた衝撃でしがみつく指先の力が少し強くなった。
幼い仕草に、この温んだ昼間に、幸福を感じずにはいられなかった。
 















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小さい頃眠くなると親に部屋まで抱っこして貰ったなぁとか思い出したらついこんな話に。
腰周りに張り付くという行動にこの上ないMOEを感じます。

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