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その昼間の出来事を引きずって一人浮かれていたのかもしれない。夜になってもおれはやっぱり嬉しくて、なんと無しに、あいつの寝所の前で足を止めた。もう一度、触れて欲しいなんて言ったら、あいつは笑って許してくれるだろうか。
障子の奥でまだ灯った明かりが揺らぐ。起きているのだ。障子に手をかけた。
同時に、人の影も揺らぐ。
障子越しのおれと、弁慶と、・・・───誰だろうか。
「っ・・・あ、ぁ───っ」
手が戦慄いた。背をひやりとしたものが通る。
聞いた事の無い、聞き覚えのある声。
好奇心ではなく恐怖心から確かめずにいられなかった。
わずかに開けた障子の隙間から予想通りの光景と、予想外の色めいた顔をした弁慶を見た。
「っ、ゃ、くろ・・・」
後ろ抱きにされた格好で、弁慶はあの御曹司の頭に手を伸ばす。縋りつくような目で振り仰いで、そのまま、口付ける。
弁慶はやたら乱暴に抱かれているらしく、何度も悲鳴のような嬌声を上げてだらだらと射精し続ける。
その光景に不謹慎に立ち上がった自分の熱に触れて、立ち去れない自分をもてあます。下腹部を見つめぎゅっとそこを押さえてからもう一度部屋の中に目を戻した。
あいつはこちらを見ていた。張り付いたあの綺麗な笑みでもって。
「九郎、・・・もっと、下さい」
妖艶な、見た事の無い深い笑みで、あいつは頬を撫でて誘っている。
おれはいたたまれずにその場を逃げ出した。
いや、ようやく逃げ出せた。
もしあの時あいつに気づかれていたんだとはっきり分からなかったら、最後まで居続けたはずだ。
部屋に戻っても動悸は納まらず、体の奥にじくじくと篭った熱もどこへもやれない。
いつだってあいつは抱いているものだと思っていた。なのにあんな顔で感じたり喘いだり誘ったりする。
奇妙な疼きを感じた。
いつもおれは求める側で、弁慶はそれに応えてたけど、もしおれが別の形を求めたら、あいつはあんな風におれを求めるんだろうか。
求められたら、どうなるだろう。気が触れそうになるかもしれない。
あの安心感よりもっと気持ち良いかもしれない。
一人と言うのは堪えるものもない。投げやりに襦袢をはだけて股座に手を突っ込む。
「っ・・・、弁慶・・・」
その晩、初めておれは、男を抱く妄想で自慰をした。