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宴もたけなわ。
みな一様に酔っ払って真っ赤な顔をしている。
だがさっきまでの良い気分はどこへやら。おれはとっくに冷めた酔いを取り戻すように机の上の酒をぐいぐい煽った。

「さ、ヒノエくんっ!」

望美は鼻息が聞こえそうな勢いで拳を握り締めてこちらを見つめる。
立ち尽くすおれの目の前にはソファに座った弁慶。酔ってるんだろうがさっぱり顔には出ていない。
周囲はにやついたり呆れたりした顔で埋め尽くされている。

 

───3番は7番にちゅうして。


望美女王さまの発案で王様ゲームなんていうものに巻き込まれた。
生憎おれは3、弁慶は7。
上手い事言いくるめて逃げようかと思ったが、望美命のリズ先生が出口を塞いでいる。


おれは盛大に溜め息を吐き出した。


「失礼な子ですね。君は」
「うるせー!あんたも少しくらい嫌がれよ!」

怒鳴り散らしたところに将臣が大笑いする。

「ヒノエ、こういうのはノリと勢いってやつだよOKOK!」
「じゃあお前がやってくれ!」
「ははは、お前案外往生際悪いなー」

周囲の緊張と集中もそろそろ切れかけている。望美の視線が段々イタイ。
このくらい何でも無いといえばそうかもしれない。
確かに弁慶は女みたいな面してるし、綺麗だし、気持ち悪いとかじゃないけど、でもとにかくそういうんじゃなくて無理だろ!おれにだって人並みの羞恥心くらいある。

「ヒノエ、ほら、一瞬ですよ一瞬。痛くも無いでしょう?」

まるで小さい子供に苦い薬を飲ませる時みたいな口調で弁慶は自分の唇を指差す。

「なんでそんなノリノリなんだよ!」
「君がそんなにノリが悪いとは思いませんでした」

コノヤロウ。
ああもうノリと勢いだ。やってしまえ。

おれはやけくそになって弁慶の顎を掴み取る。
こんな色気の無い口付けなんて初めてだ。
まじまじと顔なんか見られなくてぎゅっと目を瞑った。


「ん?ん、んーーー!!!」

少し触れてさっさと離そうとしたら体がちっとも動かない。
弁慶が首を引き寄せているらしかった。
慌てているおれを尻目に弁慶は無駄に唇を貪ろうとする。


「ちょっ、朔ぅ!見て、見て!!」
「みみみみてるわよ!見てるけど・・・!」

なんでどーして誰も突っ込んだり止めたりしてくれないんだよ!
てゆーかこんなもん見せられても嬉しくないんだろ!

周囲は酔っ払いに絡まれた可哀相な奴を見るようにざわついたまま傍観している。
弁慶は角度を変えて口付けるのをやめて、舌をねじ込んだりしている。
混乱していた頭がなんとか冷静になったあたりで、おれはようやく弁慶を殴れた。

「痛いじゃないですか」
「ふざけんな!あんなんやれなんて言われて無いだろ!」
「さーびすですよさーびす。ね、望美さん?」

望美に軽く微笑んでいる弁慶をもう一度殴ると、周囲はにわかに雑然とし始める。
王様ゲームはまだ始まったばかりだったと思い出して、ぐったりしているところに望美の楽しそうな声が響いて、再開の合図を知らせていた。

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