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おれは恥ずかしいやら悲しいやらで、部屋の外に座を移した。
手洗いの近くで床に腰を下ろすと、わっと笑い出す声が遠くに聞こえる。

なんであんなもんで楽しめるんだか。

少しだけ経ってから、弁慶が廊下に顔を出す。さっきと大して変わらない薄く笑った顔で近づいてきて顔を覗き込んだ。

「ヒノエ、」
「くんな、よるな、触るな!」
「酷いな、そんなに嫌わなくても良いでしょう?」

跳ね除けようとした腕を弁慶は容易く掴まえて顔を近づけた。

「皆の前だから嫌だったんですか」
「野郎にあんな事して楽しいわけないだろ」
「本当に?」

こいつのこういう顔は本当に嫌いだ。なんだってそういう顔をするんだ。
何も言えなくなるし、目をそらせなくなる。

「僕は好きですよ。君の顔色はなかなか変わらないから」
「ちょ・・・・っ」

今度は口じゃなくて首に触れられて身を竦める。
「そういう事」の合図が分かってしまって、しかも自分がそれをちょっとだけ嬉しいと思っているのが始末に終えない。
ああもう、こんなんだから、こんなんだから嫌なんだ。
王様ゲームなんかしなくたってあんたはおれの事なんかいつも好き勝手にしてるじゃねーか。
それで丸め込まれて簡単に喘がされてるおれを見てるだろ。それだって充分に恥ずかしいのに、あんな事しなくたって良いじゃねえか。

こんなん、理不尽だ。

そう思ってしまうのに。

「ヒノエ、・・・さっきのは、謝りますよ」

いつもこうやって上手い頃合いにおれを宥めてくる。

「君に嫌われたら生きていけません」

・・・・嘘臭いにもほどがある。
なのにどうしようもなく、結局おれはこいつを許してしまう。


そう思って唇を噛んだあたりで、弁慶が口付けてきた。

(まあ・・・いーや、)


惚れた弱みはどうしようもない。

なんてこった。

 

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