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冗談じゃねえよ。
寂しかった?
俺と話せて嬉しい?
そんなに俺のことを悦ばせて、お前、どうすんの。
食っちまうぞ。
「ほいよ」
「あ、ありがとう」
おれはテキーラ、ロイドにはラム酒にアルモリカ産の蜂蜜を足してお湯で割ったものを出した。
ま、お子様に強い酒は飲ませられないからな。
てゆーかなんでお前、寝巻きなの?鎖骨とか見せないでくれる?
「それで・・・、その、理由ってのは?」
「クク、まだ早ぇだろ、もう少し酔いが回るまで別の話しようや」
「別の話っていわれても」
「男が集まったら、こっちの話しかねえだろ」
俺はグラビア雑誌を取り上げてあからさまにやらしい顔をしてやった。
「おれはこういうのは読まないから」
「かーっ、駄目駄目、硬くするのはあっちの方だけで十分」
「ランディ・・・あのな、ランディこそオヤジくさいのはどうかと思うけど?」
「男なんて一枚皮をはげばみんなこんなもんだぞ」
「それはランディだけだろ」
「お前がストイックすぎんだよ」
「そうかなあ」
その間にも、俺はロイドのグラスにちびちびラム酒を継ぎ足す。
なに、少し酔わせて、あとは煙に巻けば良い。
理由なんてお前は知らなくて良い。
俺が汚いなんて知れてみろ。
がっかりするだけだぜ。
きれいと言われた俺は、その体面を保たなきゃならねえ。
ロイドが酔った頃を見計らって、
「眠くなってきたか?」
と、問う。
ロイドは子供っぽくぶんぶん頭を振って否定するがそろそろきているはずだ。
「ランディ・・・、」
「うん?」
「これ、もらうな」
「え、あ、待てそれは・・・!」
透明の液体。ラベルをはがしてあったのがまずかった。
ロイドはそれと知らず一気にあおった。
「う、あ・・・?」
「馬鹿野郎!それはウォッカだっつの!」
あわてて瓶をロイドの口から引き剥がした。瓶の口からもロイドの口からもウォッカが垂れてくる。
「ランデ・・・ィ」
「ああもう、水持ってくるから!」
「ま・・・って」
きびすを返してドアに向かおうとすると、不意にぎゅっと服の裾をつかまれた。
「ひとりに、・・・・しないで」
そのまま、ロイドは床にずるずると落ちていく。
それを体を反転させて受け止めた。
「っ・・・、の野郎」
こちらの気も知らない、無防備な体。
触れただけで体が熱くなる。泣きたい。こいつが欲しくなる。
とりあえずロイドを抱き起こしてベッドに寝かせると、水を取りに行こうとした。
しかし泥酔しているはずのロイドは俺の腕をつかんで放そうとしない。
「ラン、ディ・・・のこと・・・わかん、ない」
「お前、酔っ払ってるんだから、とにかく水でも飲め」
「ぃ・・・らない・・・ランディの、こと、しりたい」
無理やり腕をはらえ。
ここから立ち去れ。
でないと、このままじゃ。
「おしえて・・・」
ロイドはうっすら目を開いた。
口も半開きのまま、こちらをじっと見ている。
かぁっと頭に血が上った。
くそっ。
おれは、身を乗り出した。
すると誘うようにロイドの手がおれの腕を引く。
くちゅ、と水音がした。
「んん・・・」
鼻にかかった声を出しながら、ロイドがおれの下にいる。
夢の中で何度抱いたか知れない体が、生の温度が、ここにある。
二人分の体重を支えてギシッとベッドが鳴った。
「ロイド・・・ッ」
「ん、ランディ・・・」
おれも、酔っていたかもしれない。
角度を変えて何度も何度も口付ける。
浅いのから、深いのまで、ロイドの口腔を思う存分舐る。
こいつが束の間でも手に入るならもう、なんでも良いと思った。
明日のことや先のことなんか考える余裕もなかった。
ロイドのシャツの裾を捲り上げて、肌に舌を這わせていく。
思っていた以上にロイドの体は敏感で、胸の尖りに吸い付くと簡単に鳴いた。
「あ・・・あ・・・っ」
この声、頭がおかしくなりそうだ。
「ランディ・・・」
「ロイド、ロイド・・・!」
喉に噛み付いた。血がにじむほど噛んで、おれのものだと言わんばかりに刻印する。
それを胸板のあちこちにも残した。
「いたい・・・いたいよ・・・ぉ」
その声に、ハッとした。
ロイドは目じりに涙を溜めて、おれを見ていた。
何をされているのかも分からないだろう。可哀想なロイド。
「あ・・・・」
最低だ。
もう、取り返しがつかない。
そう思った。
ところが。
「ラン、ディ・・・な・・・んで、やめるの・・・?」
「え・・・」
「おれ、やめろ、なんて・・・いってない」
ろれつをもつれさせながら、ロイドは必死そうに喋る。
そうして、俺をありったけの力で引き寄せた。
「これ、が・・・りゆう・・・?」
そうだ。
お前を抱きたくて、でも傷つけたくなくて。
おれをきれいと言ったお前の魂を汚したくなくて。
なのに薄汚いおれは、お前を傷つけた。お前を、汚した。
「なんで・・・ないてる・・・の?」
こんな時におれの心配かよ。
てめえの心配しろよ。
なんでお前はそんなにきれいなままでいられる?
「泣いてる?」
「ないて・・・る」
本当だ、視界がぼやけてる。
ロイドの指が俺の目元をぬぐった、震える指だった。
その震えは怯えではなく、酒のせいだと直感的に分かった。
「ね、え」
「・・・・」
「ランディ・・・おれのこと、みて」
俺はいたたまれない状態のままロイドを見た。
「この、まま・・・さきにいっても、いいんだ・・・」
「でも」
「ランディから、かんじんなこと、きいて・・・ない」
「おれを、さけてた、りゆう・・・は?」
ああ、言わされる。
この目に、囚われる。
熱っぽく潤んだ、何の抵抗力も持たない瞳に。
「お前が・・・欲しい、から・・・」
自分でもみっともないくらい情けない声だった。
涙声で、かすれていて、でも、ロイドはうっすら微笑んだ。
「ほしいのに、さける、の?」
「俺はお前を汚すから」
「ど・・・して?」
「俺は汚い。夢の中で、何度もお前を抱いて、イッてる」
さすがに引いただろうと思った。
のに。
「もし、かして・・・ランディ、おれのこと、すき?」
え?
今なんつったこいつ。
「あ、当たり前だろうが・・・!!でなきゃなんで野郎相手に欲情するんだよ!」
あ、しまった、つい本音が。
「ぷ、くくく・・・あはは・・・、なんだ、そんな、かんたんな、こと・・・」
「笑ってんじゃねえ!犯すぞこの酔っ払い!」
「さっき、まで・・・そのき、だった、」
「うぐ、」
「ひっしで、・・・あんなランディ、みたことなくて、うれしかった」
ロイドは、ふふ、と笑って、震える指を俺の指の間に滑り込ませる。
「すきだよ」
ああ、もう。
違うんだって。
そうじゃねえ。
お前の好きと俺の好きじゃ、何もかもが違うんだよ。
お前に俺を受け止めることが出来るのかよ。
「おれと、ランディは、ちゃんとつうじてる、よ?」
「違う」
「ちがうよ」
「あ?なんだっつーんだよ?」
「はは、ランディの素・・・ってそんな、なんだな。・・・ちょっとぼーりょくてき」
「あ・・・悪ぃ」
「いいんだ、うれしい、から。ふしぎ、なんだけど、ランディのこと、しりたくてたまらないんだ」
本当に?
俺のこと、分かってんのか?
重い奴なんだぜ?
こんな重い奴、背負ってくれんのか?
ロイドは俺の気持ちを知ってか知らずか、口付けてくる。
力の入らない体で懸命に。
「おれ、もう、げんかい・・・あしたちゃんとはなす、から」
「ロイド・・・」
言うや否や、ロイドは意識を手放してしまった。
俺はどうすれば良いんだろう。
好きだといわれて、先に進んでも良いと言われて
それでもなお、迷っている俺は。どうすれば。
ロイドに付けた跡の数を目で数え
「21・・・」
年の数だけ付けたことに気づいた。
俺の生きてきた年数分。
人を殺してきた歴史が織り交ざった数だけ。
己の過去を無意識に、一緒に背負ってもらおうとしていた。
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