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目を覚ましたら家のベッドに寝ていた。
気を失うなんて今まで無かったから一瞬場所を見失う。
リビングに出ると暢気に紅茶をすする弁慶がいる。
テレビからは熱血と明晰コンビの刑事二人が事件を解決するシリーズが流れていた。
ソファの後ろまで行って首にしがみついてみる。けれどさっきあった事がフラッシュバックしてどう声をかけたものか分からない。
「ヒノエ、」
「ん」
「大丈夫ですか」
「うん、」
「紅茶飲みます?」
「うん、」
「お腹すきました?」
「うん、」
「何か言って下さいよ、」
「うん・・・」
くすくす笑って頬を撫でてくる手に頬を摺り寄せる。
「ねえ・・・、望美、の告白って何だったの」
「聞きたいですか」
「言いたくないなら、・・・あ、・・・聞きたい」
吹き出した弁慶に促されて横に座る。
カップに残っていた紅茶を飲もうとすると取り上げられた。
「風邪が移りますよ、・・・それで、」
キッチンに向かいながら続きを話し始める。
「おれ、アールグレイが良い」
「はいはい。望美さんは君の事を心配してたんですよ」
「おれの?」
「僕との事なんて知ってる子は皆きっと知ってますよ」
「どーして」
「君は顔に出ますからねえ」
「あそ」
単純、と言われた気がして口をとがらせる。
ああこういうところが単純なのかもしれない。
「『ヒノエくんに、先生に告白するって言ったら、すごい焦ってましたよ』って、望美さんが」
「・・・望美は何がしたかったわけ?」
そう尋ねると弁慶は首を傾げて苦笑する。
「君が素直じゃない事を心配した望美さんは、僕に君の素直なところを見せて欲しかった、それでちょっと他の女がちょっかい出してるところを見たら焦ると思った。・・・そんなところじゃないですか?」
アールグレイを目の前に置いて弁慶はここまで言わせないで下さいよなんて言う。
おれは変なところで鈍感なんだろうか。素直なんだろうか。
望美がやった事は理解できたけど、どうしてそんなに心配するんだろう。
「どうしてそんなにおれの心配するんだろうな」
言うと弁慶はまた苦笑する。
「良いんですよ、気にしなくても。きっと君は分かってるんでしょうから」
分からない、と心の中で呟きながら、それでも分かっているんだと言ってくれるからそうなのかもしれないと思う事にする。
余計な事を言い始める前にと口を塞がれた。
手元のリモコンを押してテレビを消すと静まり返った中で熱っぽく頭が溶けていく。
きっといつまでも今日の事は忘れられない。
理由は知らないけれど。