忍者ブログ
7879808182838485868788

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。




夜から明け方にかけての長さが昼の短さを実感させる。冬も真中だ。

身を震わせながら自宅、と言うか仮の住まいに向かうが、どうも家に帰るのが勿体無い。
家に帰れば今日が終わる。それが勿体無い。

携帯を取り出して連絡先を見つめた。
敦盛、景時、九郎、朔ちゃん、望美、弁慶、将臣、譲、リズ先生。
あいうえお順で表示されるそれの中から望美を最初に指名して、メールを作り始めるが、最初の一文字を打って削除する。余計な言葉で飾るのが面倒だ。



一人も嫌だし、家に帰りたくもない。



時々こういう我が侭が出てくると自分でもどうしようもない。
普段ならその気持ちを見なかったようにして家に帰る事がほとんどなのだが。
望美のアドレスから一段下げて、困らせても困らない奴に電話をかける。
頭の中で過ぎっていくその人間の姿、今は何をしているだろうか。
ワンコールする、二回、三回、相手が出ない安心感が零れ始めた六回目、頭の裏を撫でるような声で弁慶が出た。

「どうしました」


携帯に出る時、望美は決まって「もしもし」と言っていたが、こちらの世界の作りになれていないおれ達は最初から本題になる。
弁慶が電話に出てほっとしながら、でも出てくれなければ良いと思っていたのは、自分が情けないからだ。結局こうして心が縋っているのがいただけない。


「いま、どこ?」
「君は?」
「外、」
「そうですか、」


弁慶の周囲で音は聞こえない。外なのは間違いないが街中ではないらしい。
家の近くを右に行き左に行き、いつぞや皆で出かけた動物園の熊のようにうろうろとする。
場所を聞いてそこに行こうとかしているのが恥ずかしい。


「奇遇な事にね、僕も今外にいるんです」
「どこ、」


弁慶はいつもよりもっと抑えて笑う。


「今君が何してるか当ててあげましょうか」
「え、あっ」


『それ』に勘付いたところで、背後から手が伸びて携帯が奪われる。
振り向くと手にスーパーの袋なんぞ持っている弁慶がにやにやと笑っていた。


「・・・夕飯の材料?」
「ええ、譲君のお使いです・・・君は?」


君は?の疑問の向こうに、今日どこへ行っていたんですかと言う問いと、これからどうしたいんですか、が混ざっているようだった。
おれが先走って勘ぐるのはクセみたいなものだが、それだけにおれは答えたくなくなる。


「今日は・・・、」
「あ、ちょっと待ってて下さい。これ、置いてきてから行きましょう」
「は?」
「出かけたいんでしょう?」
「ああ・・・、うん」


弁慶は珍しく皮肉も冗談も何も言わない。おれは拍子抜けしてその場で弁慶が家の方に吸い込まれていくのを見ながら、弁慶の行動はおれがしている事の相対になっているような気がしてげんなりした。
珍しく素直に物を言うと弁慶は気味が悪いほど物分りがいい。
こういう時に、たとえば弁慶が一つ適当な冗談や皮肉でも言ってくれれば、おれも冗談半分で調子を合わせてそれ以上に近づかなくなるのに。


「・・・調子狂う、」


これからどこへ行こうか、と言う算段より前に、言わなくても良いような言い訳が頭にこんがらがりながら浮かんでくる。
こんなの自分じゃないと自分に言い訳したいだけの話なのだろうが。



家から出てきた弁慶の隣で手をつなぎたいような気がしながら、ポケットに手を突っ込む。
それをごく自然に引っ張り出して重ねられた手が冷たい。
段々と、電話で一声を聞いた瞬間のように頭の裏がざわざわして、どうしようもなくなる。
マフラーの中に口を埋めたまま、その手を少し強めに引いて弁慶をどこぞの家の壁に押し付けた。
先を強請ると肩透かしを食らう。弁慶は額に軽く口付けてまた歩き出した。
一瞬むっとして、でも、期待はずれを期待して残念がって、突っかかって、おれはそれをしたいだけらしい。


「どうして、電話の相手は僕だったんです」
「・・・、答えなきゃいけない事かよ」
「突っかかりますね、」
「突っかかりたいんだろ、」
「ああ、・・・なるほど、」


君は僕だと楽なのかな、と、一つ笑って呟かれた。それには癪だから答えてなどやらない。
交差点に差し掛かる。信号待ちの人は帰宅時間にかぶっているせいか多い。
皆、自分達とは逆方向に向かっている。小さな男の子を連れた女性が人ごみに巻かれないように子供の手を引いているのを注視していると、同じように弁慶に手を引かれた。

 


電車を30分ばかし行った先の駅で降りる。住宅街が主なのかあまり明かりは大きくない。


「どこ行くんだ」
「指定が無かったので、」


指を伸ばした先にあっさりホテルがあったあたり、おれはどうも期待しすぎていたような気がした。
感傷に浸ったなんだかこの綺麗で繊細な感情の行き場が結局そういうところだと思うと一挙に馬鹿になったような気がする。


「人肌恋しいんでしょう?」
「人恋しいって言ってくれない?」
「面倒な子ですね。どうやっても行き着くところは同じじゃないですか・・・」


思い切り腰に肘鉄を入れると、わざとらしく痛がりながら弁慶は嬉しそうに笑う。
それを見て馬鹿な気分になってくると、さっきまでの感傷がどこかへ飛び去っていく。
離した手をもう一度繋いで、この手の体温の先を思い出す。
背中が妄想で早々にざわめく。弁慶の変態が伝染している気がして、どうも嬉しいようなむかつくような気分だった。
















































空気のない雑談。

場のムードと言うのか雰囲気と言うのか
そういうのを大事にしない男・弁慶。ヒドイ(笑)

なんかヒノエ君はちょっともにょっと人肌恋しいセンチメンタルな気分だったみたいですが
弁慶さんはそれを見てむらむらしたのでじゃあホテルみたいな
そんなどうしようもないノリ。

下らない事をいっぱいしてほしいですざく。(・・・・・・・ワー)


まあ。

一番空気考えて無いのはヅケさんだという話です。

PR
  top  
忍者ブログ [PR]