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埋まるもの >>
体が求める時、頭は邪魔なものらしい。
手探りで夜半を駆けずり回ると指先に期待していないものが触れた。
ぬくもった布団に人の形が残っている。いないらしい。
喘がされてぐったりして、うつらうつらとしている間に、あいつはどこかへ抜け出したらしい。
でもまた戻ってくる気がした、いつもなら、そうは思わないけれど。
だから何でもない、起きてないんだと言い聞かせるように再び目を閉じる。
何かが体に足りない気がして体を少しだけ丸める。ぐっと、膝を胸に近く寄せると少しだけ足りないものが埋まった。
ぽとん。
一滴瞼に触れた。と思うと、ぽとん。また落ちる。
濡れた手が顔に触れた。
「たぬき寝入りなぞするものじゃありませんよ、」
ひとつ足りないものがまた埋まる。膝を胸に寄せた時の何倍も埋まる。
おれが目を開けたら手放すんだろ。起きてやらない。
「ヒノエ、」
そういう声とか、手の感触だとか、欲しかったものが手に入ると全身がざわつく。
要らないほど腰の奥が疼いて身を縮めそうになった。
頭がこいつを求めている事を知ろうとして、意識を頭に集中する。
でもそうすればそうするほど求めていると言う言葉を求めている気がして、体の熱が冷えていく。腰の奥は不思議と疼かない。
なんだか、勿体無い。
そう思ったら、触れているこいつの手の感触がやけに生々しく肌に浸透してくる。
反射のように弁慶の手を引き寄せて布団に押さえつけた。
簡単に体勢を崩して上手いこと布団に受身を取る。
濡れている指の間に指を差し込み、少しかじかんで動かない指に精一杯力を込める。
首筋に口付けて、輪郭をなぞって唇に触れた。
何度かそれを繰り返すと熱が段々とぶり返していく。
「なんかさ・・・、深く考えると駄目だな」
「どういう事ですか」
「欲しいって思ってること、体じゃなくて頭の方で理解しようとすると途端に醒める」
弁慶は笑って可愛い子ですね、と言う。
撫でられた頭から首筋に指が移動してうなじから髪の中に指が差し込まれた。
「頭は言葉にしようとして考えすぎますけど、体は動かせば言葉以上に与えてくれるものですから」
弁慶は少し頭を引き寄せて唇を吸った。
いつもよりやたら熱っぽい愛撫が舌を吸って歯列を辿る。
息を荒くしても意に介さないで続けられて、頭がどんどんぼんやりしていく。
自然、体をこすり付けると、途端にあっさり舌が去っていく。名残惜しくて舌を追いかけると弁慶が額を押さえた。
「なに?」
「ほら、ね」
「え、」
「考えなくなると求めてしまうでしょう」
したたかに笑った弁慶はもう一度しましょうなんて、ぬけぬけ耳元で囁いていた。